------ シルク・記憶 -----
赤い膜が作り出す体内世界に篭り
透過する光のグラデーションに浸る
繭のなかに閉ざされているのは
音だろうか
色だろうか
時間だろうか
横切るハイヒールの音も
女たちの嬌声も
投射された映像のようにかすむなかで
わたしは確かな骨格の生き物の
あらゆる陰影の記憶を
蚕のように紡いでいた
シルクを輝かせるのは光の記憶だ
草を食むとき浴びた陽の記憶だ
絹は摺れるときゅんと鳴く
悲しそうに小さくきゅんと
http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20081119#1227083836