- ---- 愚痴 -------
「もう疲れたわ。」
と出そうになる舌をぐるぐると巻き戻す。
ほんの一匙の幸福感のために、この長く緻密な作業を
あとどれだけ繰り返せばいいのだろう。
そういえばもう今日は11月なのだ。冷たい。
あと4つで皮を剥き終えるというところまできて、私はとうとう音を上げてしまった。
「一休みするかな。」
パソコンを開ける。
馴染みのメンバーから、暮れかけた街や生えたばかりの新芽、
名前が知りたいと思っていた紫の花の写真が届く。
それは私にではないけれど、私にでもある手紙だ。
だから私も手紙を書く。
「あやふや」で「あいまい」な手紙を。
今夜は栗ご飯にしようと思って栗を剥いているのです、と。
さて、作業に戻ろうとしたら携帯が鳴った。
「今夜は食べて帰るから。」
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そうね、雪が今すぐ降り積もって時間が止まってしまえばいいよね。
そして、なにもなかったように春が新しい空気を運んできたらいいよね。
私は栗ご飯を諦めた。
「うん、そうしよう。砂糖をうんと使って煮よう。そして瓶詰めにしてしまおう。」
・・・・・・・・・さて、栗の甘露煮はどのくらい日持ちするものなんでしょうか(笑)
(実話w)