ホタルを初めて見たのは小学校一年のときで、引っ越してきて二度目の夏だった。
向かいの「あっちゃんのにいちゃん」が瓶を手にやてきて「ホタルだ」という。
母がやけに嬉しそうにはしゃいでいたのが私にはとても不思議だった。
だってただの雑草の突っ込まれた瓶だったから。
何度も何度も礼を言った母は、大事そうに縁側の奥の足踏みミシンの奥へとそれを置いた。
「静かにしてないとびっくりして死んじゃうからね!」と母が言うので
私たちきょうだいは縁側でドタバタするのもその日は遠慮して夜を待った。
そして、「虫が光る・・・虫が光る・・・」想像してもうまく画像がむすべなかった私の前に
蛍光グリーンの鮮やかな、それでいてほわんほわんと幽かな光の塊が現れたときの驚き。
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一昨日コンビニでアイスを選んでいたら、横で「ホタル?さあ、聞いたことないな」という
やり取りがきこえ、カップルが残念そうにこっちに歩いてきた。
数年前だけど、こんな都会でも山手にいけばホタルが見れると聞いたことがあったので
私は簡単に説明をしてあげた。
神戸は平地がごくごく狭くて、今居る海手から山手までは歩いて一時間かからない。
「どうしても見たかったら住吉川に沿ってどんどん北上してみるといいよ」と。
私はホタルには出会ってないけど、この川を散歩していてかわせみのダイビングを目撃したことがある。
少しずつだけど、地元の人たちの努力で水質が戻っていると聞く。
二人がホタルに出会えていますように!