藤の花弁は 顕微鏡にうごめく夜光虫 とりとめない輪郭と たよりない光 だが群れをなせば それは明るい五月を拒絶する一枚の岩盤になる そのしたには そのしたには 天地と遠近が一瞬で狂う イリュージョンが待っている