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花うさぎのことを語る

1-3

 だからあなたがその件をいつ、あのひとから知らされたのかわからない。話しというほどのこともなかったのかもしれない。あなたはあなたで弟子とその母親である従姉からそれを聞いたのかもしれず、または夢使い同士の噂話で耳にした可能性もないわけではない。
 あなたの叔母が、おそらくは「自死」したのであろうことを。

 正直で隠し事の苦手なあなただからこそ、おれはあなたの何もかもを知っているような気持ちになることもあるのに、その不遜は肝心のときに打ち砕かれる。 おれはそれを悔やんでいるわけではない。ましてあなたを恨んでいるはずもない。ただ、じぶんの愚かさをわらうだけだ。悲しくて、わらうことしかできないだけだ。

 ひとに知られないことはこの視界にたくさんある。
 夢がそれを暴く現実を、あなたはたまに酷く美しいことのように口にする。おれはそれを痛ましい想いで聞く。あなたの伎がその閾にある、それこそが残酷であるとあなた自身が知らないかのような気がして――むろん、そんなことはないのだけれど。

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