なないろ
メタリックグレーに輝く巨大なしゃぼんだまが数えきれないほど空からおりくるのを息を殺して見ている。
人類滅亡的な夢をちかごろよく見る。それらはハリウッド映画の反復でまるで新味のないもので、夢の中ではなぜそれが反復だとわからないのか、なぜいっそトムクルーズに肩を抱かせないのかと思う。
しゃぼんだまが好きなように玉虫も好きだ。なないろの鮮やかさがまるでこの世のものと思えないからだ。
小さいころは凝視しているうち「これはこのものの色なのかそれともかりそめの色なのか」「真実なのか騙されているのか」という疑問にとりつかれた。
大きくなって、いや大きくなりすぎたのでそんなことを思うのはもう人間に対してばかりだ。