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絵のある喫茶店(雑談場)のことを語る

ビニール傘

今日は出かけたとたんに雨が激しくなって、伸び盛りの木々の枝が雨を集めているようだった。
夕暮れ時の雨が好きだ。薄闇のなかですべてがやわらかい影を持ち、人も車もゆっくりと行き交う。わずかな光も増幅され、震えている。

ビニール傘はあの透明な膜がいけないと思う。
全部、骨まで全部みせてしまうのが。
色さえついてれば惹かれないのに。

「見知らぬ男がそこにいると思うとそれだけで女にはストレスであるということがわかっていない男が多い」
という大意のつぶやきを見て、うちのリビングの攻防を思い出した。
うちのリビングは向かい側のマンションから丸見えである。なのでできるだけそれを防ぐ程度にはカーテンを使いたい。
だが、ダンナはしょっちゅう「あけっぱ」にしてしまう。それを言うと「考えすぎ、神経質すぎ」と言いたげな顔をしていた。
「私は気になるの、人の視線が」という言葉を十回以上口にしてやっと最近はマシになったが、それでもめんどくさそうである。

視線にさらされる恐怖を男性と共有するのはここまで困難なのかと、こちらもめんどくささに泣きたい気分になる。
若く美しい妻ではない自分であるから、なおさら泣きたい気分になる。