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花うさぎのことを語る

ピンクのエプロン by usaurara

26. 生成されるために

「一次~二次創作と作家性について詰めることなくコラボを始めてしまった」という失敗談を話したが、そんな無茶ができたのはそれに先立ち二年間「はてなハイク」という場の共有があったからだ。すでにお互いについて、かなりの確かさで了解ができていた。「実際の細かいことはたいして問題ではないでしょう。『あ、うん』でやっていきましょう」と彼女は言った。

嬉しかったが、実は「まいったな」とも思った。
この企画を持ちかけたときの彼女は長くやってきた仲間と意見を違えてケンカ別れし、自伝的恋愛小説に行き詰まり、創作の支えとしていた人を病で失い、心身共にボロボロだったからだ。
これは何があっても裏切れない。わたしは「この先どんな意見の相違があろうとも誤魔化さずにきちんと伝えよう、伝わるまで伝えよう」と誓って連載をスタートした。

コラボの謳い文句には「フレキシブルに」とある。「~~できない」という呪いから解放され自由気ままににやっていこうという気持ちをあらわしたものだ。そして実際にほとんど何の打ち合わせもなく、それこそ「あ、うん」で二年の連載をやってきた。
だから「いつ、どんなかたちで完結を迎えるのか」も最後まで神のみぞ知ることだった。

この物語はひとつのテキスト作品としてだけ読むといろいろと足らない部分がある。それは現段階では仕方のないことだ。「コラボ」の意味を最大限活かすために彼女は自己完結をあえて捨ててこちらを取り込んだ。その気持ちにここであらためて礼を言いたい。どうもありがとうございました。

クマのプーさんをクリストファー・ロビンに語ったときのミルンはどんなだったろうと思う。
はじめはなんにもなかったんじゃないかな。
何度も何度も語るうちに木が森になり、川が流れ、海に注いでいったんじゃないのかな・・・・・・。