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花うさぎのことを語る

ピンクのエプロン by usaurara

1. よろずや

「ピンクのエプロンが衝撃だった」のらしい、著者の後日談によれば。たしかに2014年の今、そんなコンビニが近所にあれば驚く。でもこのコラボ話が転がり始めたとき、わたしの実感では「ちょっと昔ということならありえなくもないな」だった。世の中に大手チェーンのコンビニが溢れる以前は「コンビニ未満」がたくさんあったのだ。特に震災で古い商店を失った神戸は、それまでの業種を半分引き継ぎながら半分は小さなスーパーマーケットといったふうな、何と呼べばいいかわからない店がその数年前まではぽつぽつと存在していた。

わたしはこのコンビニにそういったちょっとイレギュラーな空気を感じて、それを端的にあらわす道具としてピンクのエプロンを思いついた。「かわいい茶髪君にピンクのエプロンをさせたい」というおのれの欲望だけではない、ということはこの機会に言わせていただきたい。

わたしはよろず屋が好きだ。雑多なものが好きだ。このお話の雑多な人々が好きだ。欲を言うともう少しバカな人間がいてもいいかなと思うことはある。それはわたしの仕事かもしれない。