年に二度使う重箱洗い伏せ母はあしたの梨をえらぶ
青空と俵おにぎりウインナー卵焼きとまるごとの梨
競いあう子に囲まれて母の手は二十世紀をくるくる廻す
重箱を卓に置くなり父は言ふ「もうお豆腐でええやんか」
貧しさを四角い彫塑にしたような豆腐がわたしはかなしかった
白和えの肌理ととのえるすり鉢やのの字描くごと陽の沈みゆき
年に二度使う重箱洗い伏せ母はあしたの梨をえらぶ
青空と俵おにぎりウインナー卵焼きとまるごとの梨
競いあう子に囲まれて母の手は二十世紀をくるくる廻す
重箱を卓に置くなり父は言ふ「もうお豆腐でええやんか」
貧しさを四角い彫塑にしたような豆腐がわたしはかなしかった
白和えの肌理ととのえるすり鉢やのの字描くごと陽の沈みゆき