水底に仄かなべにを蓄える水ようかんと春を待ちをり
福井の小浜へ旅した時に寿司屋で名産品を尋ねたら「水ようかんやね」と言われて不思議な気がしたのですが、調べてみてなるほどと思いました。貧しい土地なので子供たちは早々に京都へ奉公に出たんですね。そこから正月(明け?)に里帰りする際、雇い主が持たせた手土産が水ようかん(いわゆる丁稚羊羹)だったと。それは福井の寒さなら常温保管可能な食べ物だったので冬の愉しみのひとつだったんですね。だから今でも福井の人にとっては水ようかんは冬の食べ物のイメージなのだそうです。そう聞くと、雪深い土地の人の春を待つ気持ちが伝わってくるような気がします。