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勝手に引用のことを語る

 しかし、学校にも泣きが禁じられない場面、むしろ涙が望ましいとされる状況がある。つまり、誰も理由を問うことのない涙である。
それは、個人が泣くのではなく複数の個々人が泣くのでもない「集団の涙」であって、連帯の証となるような「共同化された涙」であることが重要な条件となっている。
この「涙の共同化」は、努力や感動ときわめて親密な関係を持っている。たとえば、スポーツ競技や合唱コンクールなど「みんなでがんばった」結果が表れる場面の涙は、美しく道徳的なものとみなされる。
「みんなで泣く」ことが、子供たちの精神的成長の表れと解されることもある。その際教師も一緒に涙するならば、良好な教師‐生徒関係が築かれているとして肯定的に受け止められることが多い。

(講談社選書メチエ 『卒業式の歴史学』 有本真紀 p.9.)