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電車内にてのことを語る

電車を降りたあとのことですがね。
改札に向かって5メートルほど歩いたところ、前方から階段をかけ上がってくる、自分よりは若いんだろうがそう子供でもない様子の、丈の長いコートを召した野郎がね。リュックを背負っていて、すれ違いざまにちょうど方向転換することになって、それが激しくわたくしにヒットしたわけです。ぶつけられたら相手に聞こえるようにいてえと言います。野郎は聞こえないのか、そのまま電車に乗ります。発車まで少し間があります。野郎に向かって「ぶつけたらひとこと謝ったらどうかね」と呼びかけます。野郎は威嚇要素を含むのでしょうか、大きな声で「はぁ?」と言います。たいへん小心なわたくしですが、この距離、相手の風体、警戒する要素がありません。もういちど提案します。野郎は「(謝るのは、の意か?)そっちでしょう」と言います。
えっ。
おかしくなって、にやにやしてしまいました。距離や視力の問題もありますが、他人と目をあわせない選手権で上位入賞間違いなしのわたくしが、野郎から視線を外しさぬまま、にやにやしつづけます。ドアが閉まった電車の中で、野郎は謎のハンドサイン(クラさんのあれっぽかった)を出し、電車は出発しました。
自宅最寄り駅でのできごとです。野郎と再会できんかのう。
都市部は人口密度が高すぎる(とはいえ自宅付近は大したことありませんよ)ので、気がきかんやつはぶつかることも多いのでしょうが、ぶつかったらひとこと謝りゃええのに、宗教上の理由でもあるんかのう。