わたくしが高校生だったころのお話です。id:merrilinさんとid:Moriyamaさんも一緒に体験した、恐るべき超常現象です。
ある日、わたくしたちは、部活動の大会で、隣の市に行きました。
放課後の掃除が免除され、すぐに駅に向かい、電車に乗りました。規則遵守派の学生だったわたくしたちは、皆、詰め襟の学生服を着ていました。
30分後、乗り換え駅で通路を歩いていたとき、それは起こりました。
乗り換えホームに向かう通路の向こうから、1時間前に同じ教室で授業を受けていたクラスメイトのKくんがやってくるのです。やっぱり詰め襟の学生服を着ています。
そんなばかな。わたくしたちより後に学校を出るはずのKくんが、どうして向こうからやってくるのか。
驚くわたくしたち。あいさつするべきかどうか戸惑っているうちに、Kくんはこちらに目もくれず通り過ぎてしまいました。
そんな体験があったせいか、大会でのわたくしの成績はふるわず。大会は週末に行われたため、すぐにKくんに種明かしをしてもらうわけにもいきません。
悶々とした休日を過ごして明けた翌週、ようやくKくんに真相を尋ねることができました。
大会の日、Kくんは掃除を終えてから帰宅したそうです。わたくしたちより先に、乗り換え駅に辿り着けるはずがありません。
いったい何が起きたのでしょうか。
わたくしたちが見たのは、下校する途中の、乗り換え駅の向こうにある学校に通うKくんの双子のお兄さんだったのです。