初見のさびれた温泉地にいたと思ったら勤務先にいた。
個人持ちの電話に着信があったので相手の名前を見ると、五年以上音沙汰がない人であった。
勤務を中断して外に出る。見慣れない、人が多い街だ。勤務先から離れるように、坂道を登る。
雑踏の中で電話をとって「ご無沙汰しております」と告げる。
相手は簡単なあいさつを返してきたか、無言だったか。
「あの、何かありましたか」
「別に。三回も助けてあげるつもりはないし」
「えっ。一回はわかるけど、二回目って何だっけ。もしもし」
無言。
電話を切ると、通話履歴には、心当たりのない名前が表示されていた。
夢今日の夢のことを語る