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オリジナル小説のことを語る

そろそろスパマーがわたくしたちを「こいつらBOTです」と通報し始める。「確かにそのとおりだ」と、わたくしたちのアカウントを削除する運営がとっくの昔にBOTと化していたのは問い合わせメールの文面から知れる通り。
他のウェッブサーヴィスに活路を求めたわたくしたちを待ち受けていたのは、やはりスパムに満ちたサーヴィス群であった。
「どこに行ってもスパムだらけだ」と嘆くわたくしたち。数少ない非スパマーは「うちのサーヴィスでもスパマーに通報される事例が出てきた」という。
あるときを境に、世界中のウェッブサーヴィスで、スパマーによる通報が非スパマーによるそれを上回り、非スパマーは各地で居場所を失っていく。新しいサーヴィスが始まっても、即座にスパマーに圧倒されてしまう。このころにはスパマーの投稿もGoogle駄洒落サジェストエンジンを取り込むなど進化を遂げ、その内容は一見しただけでは非スパマーのものと区別できなくなっていた。しかし投稿量は圧倒的だった。

時が経ち、非スパマーからはスパム・アウトブレイクの震源地として忌み嫌われるようになったはてなハイクはしかし、スパマーからは戦勝記念の地として圧倒的なスパマーの投稿を集め、律儀に広告をクリックするスパマーのおかげではてなハイクは潤っていた。
非スパマーは、いまやレジスタンスを自負する古参ハイカーがわずかに残るのみ。怖い話クリップでは「廃墟(はてなハイク)にハイキングに行ったら非スパマーに通報された」などといった投稿が連なるありさま。
そんなある日、古参のもとに、知らせがもたらされる。創業者利益をせしめ、銀河鉄道で旅に出ていたじぇいこんが、無事自転車の体を得て帰還したというのだ。
なんとかじぇいこんを呼び戻し、非スパマーのハイクを取り戻そうと画策する生き残りハイカーたち。
うかつにidコールでもしようものなら、スパマーに通報されてアカウントを停止されてしまう。アレやソレしてついにじぇいこんをハイクに呼び戻す。
じぇいこんはハイクのありさまを目の当たりにして、惨状を嘆く投稿をする。
「ツイートしたいなあ、やっぱり」