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電車内にてのことを語る

大混雑から乗り換え駅を経て人心地ついたが、それでも車両連結部に半身を乗り出すわたくし。車両が左右に揺れた表紙に、よりかかった壁から振り払われたようによろめく。同時に車両端の扉が勢いよく締まり始める。よろめいた私の視線は扉の行方を追う。その先には、扉に背を向けて、やはり半身を乗り出した人物が。挟まれる、と警告を発する間もなかったが、挟まれた当人は坂口征二風の体躯で、なにやらハエでも止まったのかといった素振りを見せただけだった。