住宅街。おそらくタモリ倶楽部の収録に居合わせる。お題は最新のアイデア商品らしい。森田のほか、漫才コンビと、進行係と思われる一人がいたが、森田以外は知らない人たちだ。
収録が始まり、最初の商品が紹介されると、森田は「何これつまんねえ」などと言って帰ってしまい、撮影中断。漫才コンビと進行係は「ネタ用意してきたのに困ります」と訴えるが敢えなく終了。
仕方なく、打ち上げの場所を探して深夜になった住宅街を移動する3人(についていく私)。住宅街に飲み屋らしき店があったので入る。コの字のカウンター席だけの狭い店。入店すると正面がコの底辺部分で、左は壁で行き止まり。私は行き止まりの席に座る。漫才コンビと進行係はコの縦線部分に座る。ほかに客はおらず、コの天辺部分の先端は壁で行き止まり。カウンターの背中はすぐ壁で、着席者がいると声をかけてやっと通れるくらいの通路になっている。
「今日の撮影は困ったな」といった感じで話が始まったとき、店の呼び鈴が鳴る。店内の我々は、おやこんな時間に誰だろうという面持ちで顔を見合わせてから入り口から外のほうを見るが、誰もいない。いたずらなのかと思って席に戻ると、年は60がらみ、ジャンパーを羽織った、日に焼けた面長短髪黒縁の眼鏡着用のおっさんが、漫才コンビと進行係の後ろを「ちょっと通りますよ」という風情でカウンターの奥に向かっていた。
いつの間に入ってきたのだろうと顔を見合わせる我々。ジャンパーのおっさんはどんどん奥へ。いちばん奥の席でも座る気配がなくて、あれれと思っていると、壁に向かって直進して消えた。
直後、カウンターの背後の模様入りガラス窓の向こうに、ジャンパーの配色と背格好からしてさっきのおっさんとしか思えない人影が浮かび上がる。
「うわあ」と叫んで覚醒。