新しく公開しました。
空位の陥穽 - 崇峻天皇は死んだ - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054886612530/episodes/1177354054888264931
おひまならよんでね。
今回の書き出し。
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物部守屋大連は、怏々とさせられるような雰囲気を感じて、たまらず朝堂を後にした。池辺の宮から外に出ると、家来の捕鳥部万が馬を引いて馳せつける。
「恐れながら、殿を謗るような噂が流れているらしゅうございます」
と万は忠告した。さきほど朝堂で見た人々の訝しい様子が、守屋の腑に落ちる。新嘗の儀式で、橘王に勧める神饌に毒を盛るとか、厭魅のまじないをするなどということが、もし誰かにできるとすれば、それは守屋しかいない。しかしそれは守屋にとってありえないことだ。自分はたとえ王を裏切ることはあっても、先祖から受け継いだ祭儀を穢すようなことなどするはずがない。
その時、向こうの道を、騎馬に率いられた一団が、松明を掲げて小駆けに走っていく。その道は守屋の家に通じている。
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