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勝手に引用のことを語る

『同じ時のなかで』 スーザン・ソンタグ 著
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100001997#
 
「まえがき」から勝手に引用。 
「ぎりぎり可能な線まで踏みとどまって、道義について猛り狂う自分をなだめて生きてきた作家たちを、私は数多く知っている。彼らには少なくともこういう幻想があった。作品は自分より長く生きるだろう。また、遺族も長生きして、彼らの残り時間は思い出に忠実でいてくれるだろうという幻想。母はそういう作家の一人で、自分の想像のなかで、片目だけは後世の世代に照準を合わせて書いていた。加えて言えば、彼女は消滅に対する純正な恐怖をもっていた」
「自著について彼女は強烈な自負をもっていたが、厳格な批判者でもあった」
「彼女はあらゆることに関心をもっていた。彼女を一言でいい当てる言葉が私にあったとしたら、それは「貪欲」だろう」
「「早く大きくなりたい、早くもっと広い現実世界へ逃げて生きたいと思っていた子ども時代の私を救ったのは読書でした……文学、世界文学に手が届くということは、国の虚飾、蒙昧、偏狭さの押しつけ、空疎な学校教育、中途半端な将来の進路、運の悪さ、といった檻から逃げ出せるということを意味します。」」
「「作家はまず第一に読者である。自著の出来映えを判断する基準を、私は読書から学んだ。それに沿って評価すると、自分は嘆かわしいほどに不出来だと思う。書く以前の、読むことから、私は共同体――文学という共同体――の一部となった。そこには、現世作家より大勢のすでにこの世を去った作家たちがいる」」
「読者諸兄姉、これからはあなたが引き受ける番だ」