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花の散りぎわ - 崇峻天皇は死んだ - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054886612530/episodes/1177354054888205521
お暇なら読んでネ。
今回の書き出し。
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海石榴市の宮には、塀の外にも庭の中にも、海石榴が植えられている。春に彩りを添えた花は、もうすっかり落ちて、緑の葉が朝の陽をてらてらと照り返している。
物部守屋大連は、身軽な者を木に登らせて、中の様子を窺わせてている。先ほどまでは雨戸の内に、ちらちらと人の気配が見えていたが、いつかふっとそれが消えて、包囲の兵士だけが、ざわざわとささやき声を立てている。斥候たちが建物の方を探ろうと、その方へ気を取られていると、不意にがさと木の葉がさやぐ音が鳴った。宮の庭に植わった海石榴の中で、ひときわ高く育って、外からもよく見える樹の上に、人々の目が注がれる。
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