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SFのことを語る

午後の部、二つ目の企画は「貴方の知らないR・A・ラファティの世界」。牧眞司が司会で、井上央、柳下毅一郎の出演だ。井上くんは神戸大学SF研の後輩。久しぶりに会ったが、ずいぶん髪の毛が後退していた(当たり前か)。
 本来、今年の京フェスではラファティの翻訳が何冊も揃っているはずだったのだが、結局一冊も出なかった。ハヤカワのは最速で10月末とのことだがみな半信半疑。一番確実な青心社は来年の春。国書刊行会にいたってはいつになることやら誰にもわからない。
 みんなのラファティとのなれそめから。井上くんは浪人時代にメリルの傑作選で「恐怖の七日間(七日間の恐怖)」を知ったことから。SF研では「ブリキ缶に乗って」を訳した。柳下さんも同じく「恐怖の七日間」が初めてのラファティで、BooksInprintでラファティの原書タイトルを探しては生協に注文したとのこと。
 ラファティにはSFの枠組みから入ったが、読むうちにそこから外れていく。SFMのラファティ特集ではマッドSFと紹介され、そんな印象が流布したが、一見マッドに見えるが全然マッドじゃない。伊藤・浅倉の紹介では、ユーモア小説のくくりで語られつつも「わからない」とも書かれていた。そもそも発想がわからない。落ちていく先もわからない。小出版社から出る作品は本当にわからない。結局われわれはフレデリック・ポール、デーモン・ナイト、テリー・カー、そしてメリルや伊藤・浅倉の選んだフィルターを通してしかラファティを知らなかったのだろう。
 牧眞司はボルヘス、カルビーノ、ラファティを挙げて、タイプは違うが知性の作家たちだという。ボルヘスは(レムもそうだが、と柳下)分類と整理の知性、カルビーノはエレガントさ、そしてラファティは土着的というが、むしろ百科全書的・系統的ではない、ラファティにだけアクセスできる別の分類システムを持つ、膨大な知識の持ち主だという。
 「貴方の知らないラファティ」というが、知っているラファティのひとつのイメージとして、伊藤さんがアメリカへ行ってラファティと会った時のSFMに載った記事がある。ここでラファティは酔っぱらいで天然なおじさんというイメージが定着した。だが実際のラファティは膨大な知識のデータベースを頭に収めており、実際に会った印象はデリケートなインテリというものだ。
 井上はラファティの作品にはSFと同じセンス・オブ・ワンダーがあるという。ラファティは基本的にSFが好きなのだが、実際に書かれたSFには幻滅しており、「SFの最良の部分は雑誌の表紙である(作品ではない)」とも言っている。ウエルズやベルヌのころが良かったとも。「新しいものには新しい発想で」という考えを否定しており、(牧眞司いわく、チェスタートンのように)進歩という思想を否定しているのだ。新しい発想(と称するもの)を作って粋がっている若者たち(=SFファン)を生暖かく見守る古い賢者といったところだ。またカトリック信者であることから(井上はプロテスタントに入信し、柳下は自身は信者ではないがプロテスタントの家庭に育った)、ラファティにはキリスト教の全体的な観点が含まれており、それは日本人がキリスト教といって連想するプロテスタント的なものとは違っている(人間中心的ではなく、秘教的側面がある)とのことだ。それは理性とは別の思考である。
 最後に二人が訳した新刊予定の話。井上の『蛇の卵』は詩情に満ちた話で、スーパー・ガキ11人対カンガルーの物語。ラファティのテーマの集大成であり、終末論に関する話でもあるとのこと。柳下の『第四の館』はカトリック小説といってよく、柳下によれば、ほら吹きおじさんではないラファティの、『パーストマスター』と並ぶ最高傑作だそうだ。
http://www.asahi-net.or.jp/~li7m-oon/thatta01/that294/kyofesu.htm
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こ、これは凄いよ、ほんっとおおおにスゴイの来るよ! >とくに『第四の館』 
『蛇の卵』も、うん、きっとチョー面白いよv
そして全面的に、このラファティ像に同意
というか前からずっとハイクやあちこちで騒いでるとおりなんだけどね
比べるなら、たしかにレムやカルヴィーノ様やボルヘスと並べるべきひと
文学史の輝かしい位置にたつひと
ラファティは唯一無二の作家、この世でほんとにひとりの、ユニーク、という形容は彼のためにある、ていうくらいの、
ライターズライターズライター
ライターズライターと呼ばれる、書き手が尊敬し愛する作家たち、その選ばれた優れた作家たちのための作家というくらいの特別なひと
だけど至高の物語作家で至純の文学作家でもあり得る
神様が、おはなしを愛するわたしたち人間のために地球へ遣わしてくれた天使、
そう、レイフェルという名は天使ラファエルの名前なのだ