「文字の美しさを極限まで追求した芸術です」アラビア書道家・本田孝一
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「実は大学を卒業して4年ほど就職もせずに引きこもっていた時期がありました。自分が何をすべきなのか、分からなかったんです。だから毎日、ソクラテスやゲーテといった古典や名著を読みあさったり、バッハの音楽やセザンヌとかの絵画を鑑賞したり。自分の行く末は見えてきませんでしたが、自分の中で感性が目覚めていくのは感じていました。場末の劇場に行った時、踊っている女性の体や動きの美しさに感動して涙が止まらなくなってしまったことがありました。ギリシャ時代の彫刻家もこんな風に女性の美しさに感動していたのではと実感できたんです。
“自分がなぜ生まれてきて、どこに行こうとしているのか”。私にとって根源的な問いに対する答えを見つけたい。そして、その答えを自分にしかできないカタチで表現したい。しかし、20代半ばの何ら経験を持たない自分には何も生み出すことができませんでした。そんなとき、中東地域でイスラム文化、日本では考えられない自然、そしてアラビア書道に出会ったんです。」