【ジェフユナイテッド千葉xサガン鳥栖】を見て。
ループシュートはいい。特にゴール裏から眺めるそれは最高だ。後半にカウンターから決まったりすると得も言われぬ。
押されてピッチの向こう側でバチバチやられていて、「オイオイどうなってんだよ、やられんじゃねえぞ?」と思ってたのが、ボール奪取とともに相手は慌てて後退りを始め、高速で自色のユニフォームが眼前へと近づいてくる。そしてシュートの直後、ボールはふわりとポストの遙か上へと舞い上がる。「どこ蹴ってんだよ?」とエクスタシーは一瞬冷水を浴びせかけられる。だがその冷水が怒りへと変わる前にボールはスッと下に沈み始める。だがまだ喜ぶことはできない、そのままゴールネットの上にボスンと着地することだって十分考えられる。「どっちなんだ?」と期待と疑念の両方混じった視線を浴びる沈みゆく弾道がクロスバーと重なるところでフッとボールは姿を消す。この瞬間が最高だ。
大事なボールが姿を消す。そのことが歓喜を意味する。そこに味わいがあるのだ。沈み込むボールに合わせるかのように下に沈み込んだサポーターの体が跳ね上がるのはボールがネットを揺らすのと同時だ。その反応を許すだけの時間が、ゆっくりとしたループシュートにはある。だからループは溜まらない。
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