しかしですね、個人に対する敬意の話と、その言質の国家に対する強制力は全く別の話だと思うのですね。
首相の言葉が重いのは、それが国家としての約束を意味するからでしょう。例えば社長や会長の言葉も企業としての約束の価値がある。
しかし「元首相」の言葉は何かの約束を意味するでしょうか?
しない。一般男性と同じ意味合いしかない。ある一個人が約束し表明した、それだけの事です。
例えば「元日本代表」は今でもサッカー能力が高い可能性がある。しかし日本代表の戦うピッチ上では何もなし得ません。「元首相」も今でも政治能力が高い可能性がある。
敬意は必要でしょう、聞く耳も持つ必要があるでしょう。しかし自国に対する政治的な「強制力」はありません。
ロシアが「日本の元首相がこう表明してるではないか」と言ってきたら、返答は以下でいいでしょう。
「鳩山氏は現在日本政府と関係ありません。」もっとシンプルに「それが何か?」でもいい。
だからこそ「元首相」は出張るのでしょう。相手にとっては無視できない肩書きでありながら味方に対しては何の強制力もない。
全くもって便利なカードです。利だけあって害がない。