昨日の夜中、めっ、と鳴く声に続けて「織姫のうなじが見たいです」と翻訳機が出力するからなにごとかと思ったら、旧暦の七夕だったらしい、もう日付は変わっていたけれど。カーテンを開けてやるも、窓の外は街灯で明るくて、夜空の晴れ具合すらわからない。ああ見えないね。織姫は毛織物も織るかしらね。牽牛は……牽くの牛だわね。
電気羊の蹄が床を鳴らすのを翻訳機が拾った。「牽牛なんてとんでもない!」怒っている。なだめようと伸ばした指先に毛が引っ掛からない。よもやうなじ見たさに自分のうなじの毛を刈ったかと。いや。刈ってなかった。電気羊かってなかった
うちの電気羊が…のことを語る