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壁に耳ありのことを語る

壁には耳があったが、口はなかった。身振り手振りで伝えようにも手も足もなかった。
だから、壁は黙って聞いたのだ。
喜びを。愚痴を。怒りを。愛を。叫びを。
手を鳴らす音を。楽器の音色を。歌声を。
長い長い間、ずっとずっとずっと壁は耳を傾けてきたのだ。

でも本当は壁はずっと伝えたかったのだ。たった一つ伝えたかったのだ。
耳掃除をして欲しい、と。