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オカルト部のことを語る

やはり今年亡くなった近所のかたのお話
そのかたは認知症で施設に入っていてそのまま亡くなったんだけれど
そのあいだに御自宅は改築して大きく立派になっていた
訃報回覧が回ってきて家族葬だというから、お悔やみをいいにいった母に娘さんが
「この家には母の部屋もちゃんと造ったんですよ、ここに連れてきてあげたかったけれど母は新しい家を見ないまま亡くなった」
と言ったそうな
八月お盆の頃、夕方わたしがかえってきて、そのお宅の前にさしかかると
そこの駐車場からとんぼが飛んできた
「あ、とんぼだ!珍しい」
と思って帰宅し母にいうと
「わたしも見たわ赤とんぼじゃなかった?」
「わかんない赤茶っぽかったけれど」
母の話では、そのとんぼは一週間くらい、あのお宅にいたらしい
そしてそれきり、とんぼはいなくなった
見なくなった
母は言う
「だから、あのとんぼ、あのかただったんじゃないかしらねぇ。だって、あの時だけだもの、とんぼがいたの。しかもあのおうちだけ。とんぼになって新しいご自宅をみにきたんじゃないかしらねぇ」