わたしは自宅にいて母が父の食事を作るのを手伝っていたはずが
いつのまにか、いろいろな店や施設の入った広くて高い雑居ビル?にいる
そこでは上下階への移動は階段のみで、しかも使用するにはその階に入っている店舗または施設を通らなくてはならず
最初に足を踏み入れたのはだだっ広い予備校の自習室みたいなところで女子高生たちが大勢いて思わず戻ってしまう
ちなみに時刻はすでに午後11時を回っている
商談?みたいな話をしている二人の男性の後ろを通り過ぎ階段に向かおうとすると
「すみません今何時ですか」
と一人に呼び止められる
「午後十時半です」
と即答してから時計を見直し
「あっ間違いました十一時半です」
二人は終電を気にしているようだ
降りたフロアはばかでかい図書館のようで四方をぐるりと高い書架に囲まれた中、沢山並べられた仕切り付きの机のひとつにユースケ・サンタマリアが向かっている
彼は隣のソファーで編み物をしているaikoに微笑みながら話しかけている
どんどん編み上がってゆく白と黒のポシェットがきれいで私も彼女に思わず声をかけてしまう
図書館のはずなのにカフェのようなさざめきがあり
aikoもにこやかに答えてくれて話は弾み
壁にもたれている宇多田ヒカルに気づいた私は近づく
彼女は縦笛のようなプラスチック製の容器に入ったチョコレートをもっており
「これね、やく付きチョコというの」
と言いながら私にも分けてくれる
チョコレートはさらに小さい容器に入っていて
中には漢字一文字が刻まれた一粒チョコレートが沢山入っている
「やく?役?」
と聞くが、どうやらどれを選んで食べるかで占える仕組みらしい
しかしその説明書?をもっているのはヒッキーなので
わたしは説明してもらわないとわからない
謎めいた笑みを浮かべる宇多田を前に
最初のひとつがなかなか決められない私は
ふと彼女にお返しをしなくてはと思い至る
自分もチョコレートをもっていたはずなのだが
フィンガーチョコレートとか普通のものしかなかった
「ふつーのチョコレート食べます?」
と彼女にさしだすが
「ふつーの?いらない」
と断られる