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悪意のない被害者落ち度論のことを語る

効果的な自衛手段を考えることと、自衛する責任があると説くことはまったく別。
 
街灯を設置する、交番を増やす、上げられた声に反応する、危険な兆候について警告するなど、自衛手段を講じる責任は社会全体にあるのであって、襲われた人個人に義務が課せられているわけではない。
 
性犯罪が発生したとき、被害者と加害者を取り巻く社会を構成する各自は、今後どのような対策を立てることが出来たか、出来るかを考えることが必要。

「各個人は社会負担を増大させないために襲われないよう自衛手段を講じる義務がある」と唱えることは、社会を、とりわけ襲われる可能性の低い人々を性暴力に対して無関心にさせ、被害者を無責任と断罪する効果しかない。無責任な被害者は襲われても仕方ないという考え方は性犯罪を増加させる。
  
ふつう人は性犯罪被害に遭いたいと思ってはいない。襲われるのは女性だけでなく、子ども、老人、男性も被害に遭う。状況を構成する因子は単純なものではない。
前提として信頼関係にあってしかるべき親族や顔見知りから、自宅や職場、学校など社会生活を送る上で回避できない場で襲われるといった状況が抜け落ちているのでは。