ぼくたちのしつげん(森田童子)
1.Akimboさん「アニメの女の子が弾いてたギターはこれじゃないですか?」
店員さんは「ああ、違います」と言って赤いギターを持ってきてくれました。唯ちゃんのギターです。
Akimboさんは78万円のコーリングをさっさと返して赤いギターを弾き始めました。赤いギター69万円ぐらいでした。
はてこ「いまこれを入門機に買う人は多いですか」店員さん「多いですねえ。いまいちばんですね」Akimboさん「そうだよね、やぱりね」はてこ「入門機に69万・・・」店員さん「はい。でも、だんだんギターが分かってくると細かいところ、たとえば重さや形ですとか微妙な使い勝手のよさなんかが気になってくるんですよ。そうすると、5万10万で買ったギターを下取りに出して、買ってを繰り返すより、最初からこれにすればよかった、ってなるんですよね」はてこ「なるほど。あ、ならそうやって最初に69万円のを買った人が、飽きたところで下取るのがいちばんいいですね!」 衝動買いをする飽きっぽい知人数名を思い出して言ったのですが、そのときのAkimboさんの顔を見て「失言だったんだな」とはてこは思った。
2.150万ギターの価格設定の理由を店員さんに伺う。
「これは音ももちろんすばらしいんですが、見て楽しむ美術品としての要素もあるんです。たとえばあの青いギターは、あのポジションマークの細工、」※鳥や海獣などのシルエットが描かれている。「あそこは真珠貝にプラチナを施したもので出来ているんです」
ええ、どこどこと思って近くに寄って見ると、確かに鮑の裏側のきらきらした部分のような貝の輝きの周りに銀色の金属の縁取りがありました。
「なるほど、これは細かいですね。じゃあこの部分のプラチナが鉄やステンレスだったらもっと安くできるんですね」「・・・うん、まあそういうのはないです」「これの贋物が出回るとその部分は鉄やステンレスなんだろうな」「そんなものないですよ」
これの廉価版は、贋物をたとえば中国で作るとして、と考えたのですが、ちょっと傷ついていらっしゃる店員さんを見て失言だったんだなとはてこは思った。
ここで売っているものを疑ったんじゃないんです。
お世辞抜きでほんとに感じのいい、ギターに詳しくギターを愛しているギターを弾くのが上手な店員さんでした。はてこだってひとの子です。あなたみたいな人を傷つけたくないと思うのは当然です。でも生きていくってむずかしいですね。
ハイクけいおん部のことを語る