ここのホテルマンたちは常ににやにやしている。
そしてちょっと客の死角に入ったと思うとすぐ互に小突きあってちょっかいをかけている。学生みたいだ。
「真面目な顔を作ろうとがんばったんだけど失敗しちゃいました、でもそれがまたおかしくって!」
「おいおい、おまえ笑うなよ~仕事中だぞ~ぷぷぷ!」
という風に、客より楽しそうにフロントでキャッキャしてる。
そしてガラス扉の向こうにタクシーが着くとちょっと静かになり、首を伸ばしてしばらく神妙にする。
でも内輪で遊んでるだけじゃなく、接客も熱心でフレンドリー。
「わたしわ、日本語を、勉強してイます」と話しかけてきたホテルマンが数名いた。
昨日客の残した料理をつまみ食いしていたウェイターも日本語勉強中だそうで、今朝話しかけてきた。
自分はガールフレンドに犬みたいだと言われてあだ名をつけられた。ヤフーチャットのIDを持っている。
日本語学校の先生は中山先生、先生は名古屋出身、費用は3か月で250万ドン/1万2500円。
※給料平均170万ドン/7000円
今年の夏に日本語を学びに留学する。場所は東北。週中にパートで働き、週末はフルでバイトもする。
日本には日本人の知り合いもベトナム人の知人もいない。心配だ。
もしあなたがベトナムに来たらカフェへ行けばベトナム人と話が出来る。ベトナム人は話が好きだ。
これらを英語と日本語を混ぜて話した。ほんと話がすきだな。でもいま朝じゃん。モーニングサービス中じゃん。
「仕事中でしょ、忙しいんじゃないの?」
「ああ、あのね。あのカウンターの向こうにいる女性、見える?」
「うん」
「彼女は、僕のボス!」
いや、にやにやしてる場合じゃないだろ。