「でも逃げた犬の子どもいるです。とてもかわいい。見に行きますか」
吠えまくる犬の横を通って奥の小屋へ行く。
「こいつらうるさい。バカ。おまえらあまりうるさいと食べるよ」
敷地には鶏も放し飼いにされており、VNYKはもちおに鶏をおびき寄せて捕まえる方法を教えてくれた。
「おとさん豚も飼うと思いました。でも豚はやめたです」
「大きくなるから?」
「や、大きさはネ、少数民族の村いたらちさい豚いるですよ。ずとちさいまま」
「へー!」
「でも仕事でお客さんきたときたいへんから。おとさんはバナナもつくてるですよ。野菜もある」
妻と別居し、通いの家政婦を雇って広い敷地で自給自足気味なお父さんであった。
奥の小屋には真っ黒な子犬が数匹母犬の周りを転げまわっていた。かわいい。
小屋の中央には焚火ともうもうと立ち込める煙とでかい鍋があった。
「ここはネ、むかしベトナム正月ときここでご飯食べるです」
「そうなんだ。あれはなに?」
「あれはネ、犬の料理」
「犬の料理」
「はい、犬の料理です」
「・・・ふーん・・・」
「・・・」
「・・・」
「あ、ぼく間違えた。犬のエサです」
「ああ、エサね」
警備だけじゃないのかと思うところであった。