UK走り屋はVN新妻と一緒にハノイでホテルを経営していた。
「ハノイのどこ?」
「West Lakeのそば。バックパッカーはいない」
大金持ちの外国人ばかり住んでいる高級住宅地じゃないですか。
「ハノイはうるさいけど、West Lakeは静かでしょ?」
「すっごく静かですっごく清潔。リノベーションしたばっかりで新しいよ」
「一泊いくら?」
「30ドル。でも友達には25ドル」
「まじで」
「朝食付き。wifiあるし、もちろん部屋にはPC、エアコン。24時間フロント対応」
「一か月だったらいくら?」
「そうだな、500ドル。ホテルは安全だし便利だよ」
えー。いい話じゃーん。ということでハノイについてから部屋を確認しにいった。
あれ、ここは旧市街クラクション無敵ゾーンじゃないですか。
ぜんぜんWest Lakeの近くじゃないんだけど本当にここ?
薄暗くてよくわからないけど埃だらけの窓と壊れかけの家具が昔の香港映画風のホテルだった。
フロントにはフライトアテンダント顔負けの華やかなはにかみ笑顔の小柄な女性。
「UK走り屋夫婦の紹介ならいちばん新しくて広い部屋を25ドルでいいわ。どうぞ」
案内された部屋は新しかったけど控え目に言って静かではなく、部屋はとても潤っている。
通りに面した窓の中央には戸板が打ち付けてあり、眺めに気を取られる心配もなさそう。
VNYKがすごく険しい顔になって怖い。
「これで一泊25ドルだったら高いカナと僕は思うだけど、はてこサン決めてください」
「あー、ちょっとホテル出て考えるわ」
ということで一ミリたりとも笑顔を崩さないホテルウーマンに見送られてホテルを出た。
VNかしゆかといいぼったくりホテルフロント女性の営業用スマイル力はものすごいな、と思った。