一昨日一ヵ月ぶりに行ってきた。
「久しぶりだな、内腹斜筋」
「おお、外腹斜筋じゃないか。どうしてた?」
「さっぱりさ。景気がいいのは上腕二頭筋くらいだろう。どこも仕事がない」
「上腕二頭筋か。あいつもたいした仕事はないだろう」
「表情筋くらいか、毎日仕事があるのは」
「俺たちはもう生きていくのに必要ないってことなんだろうな」
「まあ、そう腐るなよ。いい話もあるぜ」
「なんだよ、小胸筋」
「はてこがよ、今年に入って、いや、暮れから腕立てを始めやがったんだ」
「なんだって?どういう風の吹き回しだ」
「ヨガを始めたんだよ。な、大胸筋?」
「そう。かろうじて骨に張り付いてるだけだった俺にも、やっと仕事が回ってきたってわけさ」
「脊柱起立筋と大臀筋辺りも駆り出されてるらしいぜ」
「急に忙しくなって仕事が追い付かないってよ。冗談じゃないって笑ってた」
「内腹斜筋も外腹斜筋もそのうち忙しくなるぜ」
という、過疎の街が特需で潤う様子を想像して、筋肉痛に耐えている。
楽しい。