わたしのリアルネームがですね、どう見ても男性名なんですね。「尚樹」と書いて「なおみ」と読むみたいな。
役所や病院で名前を書くと「ご本人のお名前をお願いします」とか言われるんですよ。昔から。
それで「いや、これわたしの名前なんです、なおみって読むんです」って訂正するんです。毎回。
で、昔はね、そういうと「あら～、女性で珍しいですね、失礼しました」とか言われてたんです。
でも最近ね、黙っちゃうの。ピタッと。名前の話はこれで終わり！みたいな。
でね、顔がこう、能面みたいなの。「お察し・・・」みたいな。

今日、あるところへ電話で予約を入れて出かけたんですね。
そしたら「先ほどお電話くだったのは男の方でしたよね？」って言われたんです。わたし、声も低いから。
「いいえ、わたしです」「あ、そうでしたか～」ってなもんで。まあ和やかに要件に入ったんですよ。
で、名前を書いてくださいと。書きましたら、またビシッと黙ってしまわれたんです、その方。
「身分証明書は必要ですか」「・・・いえ、結構です」「・・・」「・・・」
身長もね、かなりありますし、胸はまあありませんし、顔も弟似ですからね。
それに最近の女装は技術がすごいですからね。ええ。
生まれついて、女性なんですけれども、表明する機会もなくて、じっと手を見ている今日この頃です。
社会がこういう風に変わってきているのは、きっといいことなんだって思っています。ええ。たぶん。