「今日シンナー使う仕事やってな」
「あらー、たいへんだったね」
「なるだけ吸わんようにしとったけど、コンビニでトイレ借りたら足がなんかむずむずするんよ」
「うん」
「それで『こりゃなんかの、シンナーで感覚おかしくなるっちゅーけど、それかの』って思っとったんやけど、おさまらんで、ズボンの上から足をパンパンと叩いたんよ」
「はぁ」
「そしたらこんっな大きな、ゴキブリがよ、裾から出てきてカサカサカサってどっかに消えて行った」
「ひいいいいいいいいっ!」
「あはははははは!」
「なにそれなにそれ」
「はぁでもわしゃしあわせじゃの。家に帰ったら話せる家族がおるもんな。
一人やったら帰って黙って思い出してそれだけやもんな。こうして笑ってもらうこともないしな」
ハイクに書けるネタも一人分だもんな。