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くたびれ はてこのことを語る

教育は文化の影響を大きく受けます。戦後日本の子女のための雑誌を作っていた中原淳一は、毎朝夫のためにその日の予定に合わせた靴下を出すようにと書きました。これは当時としては異常なことではなく、日本男子の身繕いは母親と妻によるところが大きかった。九州ではいまだにそれを誇りにしているご家庭もあります。都心部の方と話していても60代前後はそのような感覚でいらっしゃるように思います。

問題はそれが正しいかどうかではなく、文化的な性差によって生活する術を身に着けていない人にも人権があり、助けを必要としている場合があるということです。

日本の男性はこれまで確かに家事や身だしなみを整える点で不利な立場にいました。不可能だったということではなく、さまざまな障害があったということです。それは身近なところで夫を見ていてもよく思います。そのような障害がある状況に生まれたことは夫の落ち度ではありません。女性に教育を受ける上で障害があったのと同じだとわたしは思います。

身だしなみを整えることを当然と考えるのは、ある程度文化的な空気のある家庭に育った方ではないかと思います。スーパーがあった場所は山間部の農業地帯でしたが、農家にいくと都心ではけして見ないレベルの散らかり方をした家がたくさんありました。スカートをはいて出かけると噂になるような地域です。経済的に豊かなお家でも「何かあったのか」と思うような髪型、服装の方も普通にいらっしゃいました。一口に日本の男性と言っても背景はさまざまで、通勤にスーツを着るような地域ばかりではありません。

地域性や家柄による影響は見過ごせません。教育の影響も大きい。だからこそ貧困家庭は経済的な支援だけでなく文化的な支援を必要としているのだと思います。

これはお若い世代の男性がいまだに家事を覚えようとせず、女が悪いと騒ぐことをよしとしているわけではありませんよ、念のため。