「近年男女平等が叫ばれている欧米では完全に無視されているが」と前置きして、ユングが男女を思考と感情に分けたと書いているが、この時点で欧米が男女平等という方向に向かったことを学術的な根拠のないことだととらえているのがわかる。
こういう社会で論理的に考える女性は、自分は女性として異常なのか、勘違いして思い上がっていると結論づけることになる。「そうでなければ子供を産み育てることが出来ない」とまで書いているが、家計のやりくりや病人の世話に論理的思考が必要だと分からないのは家政を知らない男性の見方だろう。
養子としてもらわれた子供が毛皮を手放さなかった例を上げて「色や形など感覚機能を発達させる」ことを進めたり、幼児期のマスターベーションも同様に性欲ではなく感覚の発達課程として扱ったりしているけれど、寂しさや性欲は感覚の楽しみに置き換えられるものとは違う。
ユングについて基礎的なことを知るにはいい本だけど、最初に読んだのが現代だったらトンデモ本だと思ったに違いない。そしたらユングに触れる機会はなかった。若い内に読んでおいてよかった。
くたびれ はてこのことを語る