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くたびれ はてこのことを語る

先日、母の調理を見学した。
母は塩も砂糖も、わたしが守るべきだと思ってきたよりずっとたっぷり使っていた。
そして強火で蓋をせず鍋をかけていた。
野菜はそこそこ洗って、母なりに選んだ店で買ったノーブランド品だった。

母はわたしを育てていた頃、台所洗剤を許さなかった。それらを蛇蠍の如く憎み、撤廃した。
しかし今はさりげなく洗い場にそれを持ち込み、わたしの台所に置いていこうとしたことさえある。
「お米は、あんまり研がない方がいいんですって。栄養がなくなっちゃうから」と母は言った。
わたしは一人暮らしをしてまもなく、農家の友人にそれを聞いて知っていた。この友人の言葉がなかったら、わたしは未だにどこまで米を研いだらいいかわからず、米が研げなかったんじゃないかと思う。

母は理想に燃えて子育てをした。
わたしは母の現行不一致に気づかないほど幼く、母を夢中で愛し、尊敬していた。
その刷り込みが仇になり、物事を適当にさじ加減出来なくなると料理が無理ゲーと化していたのだと思う。