映画はここで終わっていた。
呆然とクルーザーを見送る我々に黒髪が語った。それは、この映画はインディーズプロレス団体が総合エンターテインメント事業の一つとして製作したものだということ。そんな団体にジョシュ・バーネットにオファーができるわけもなく、ここで中断しているということ。黒髪はこの映画のプロデューサーで、映画製作を手がけたインディーズプロレス団体の代表で、その団体のたった一人の所属選手だった。映画に出ていたのはほとんどが同じようなプロレスラーだったのである。
しかし!続きを作らなければ、大河内監察官が危ない!
「ジョシュ・バーネットに交渉しよう!」
映画に出演していた私たち数名は、ジョシュ・バーネットに会うべく、寺尾辺りにある外国人レスラー集うが道場兼オフィスに臨港バスを乗り継いで向かった。立体駐車場を建物にしたようなビルのスロープを駆け下りると、その先にスタン・ハンセン選手がいた。「まずい。このタイミングで駆け下りると、私はラリアットとか喰らっちゃうんじゃないか?」一抹の不安がよぎるが、ハンセン選手は人なつこい笑顔で我々を迎えてくれた。そのままオフィスに駆け込み、ジョシュ・バーネット選手を見つけると、ここから厨子王さんが交渉役を担う。
厨子王さんの交渉の成否はいかに!?続く