幸い大きな血管や臓器を傷つけることなく弾は貫通していました。家や田畑を処分して治療費を支払おうとする兵十に、獣医さんは「栗でいいよ。」と痩せたごんのしっぽを撫でて言いました。
以前のようには走れなくなったごんに、兵十は栗を取ってきてくれました。傷が痛む寒い季節には囲炉裏端の一番いい場所に寝床を作ってくれました。兵十の髪が白くなる頃には、ごんのしっぽもだいぶ白くなっていました。ごんは家の中で過ごすことが多くなり、兵十の取ってきてくれた栗も確かめるように鼻先で転がすだけで食べることもなくなりました。それでも兵十は秋には栗を取ってきて、冬には藁で寝床をこしらえて、そうして二人春の来るのを待つのでした。
あのあとごんはどうなったのですかのことを語る