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連続はてな小説のことを語る

こんな化物のような姿の自分に、何故なんの躊躇もなく店を手伝わせようとするのだろう?
三郎は不審に思いながらも、まず手を洗おうと洗面台に向かい、鏡に映った自分を見た。
「あ!顔が!姿が元に戻っている!」
思わず上げた声も、元通りだ。
人間の姿であるのなら何を憚る必要もない。今すぐ、ここから逃げ出そう。
三郎がそっと裏口から立ち去ったのと入れ替わりに、互いにそれとは知らぬままの生き別れの双子の兄がお手洗いを出て厨房へ入っていった。