色白だの色黒だので思い出したのが、 江戸末期、新吉原の遊女たちを描いた小説、 宮本あや子「花宵道中」の中の「雪紐観音」の主人公の遊女・緑。 周りが皆色黒ばかりの南国で、ただ一人色白で生まれてきた緑は、 「鬼の子」と蔑まれ、「鬼の子を産んだ」と批難された母は自害した。 緑は大変な美人で、売られてきた見世では将来を嘱望されるが、 郷里での迫害が原因で、人と話すことが出来ない。