エアコンの冷風を首筋に当てられる自分を鏡で見ながら、静かにふつふつと怒っていた時にふと思い出したこと。
あれは大学の卒業式の日。
早朝の美容院に着付けとセットをしてもらいに行ったところ、同級生がいて先にセット中にだった。
並んでセットしてもらってたんだけど、彼女が先に終わってケープを外すと……なんとニットだった。よりによってかぶりの。
あ……と思った私と同時に上がる、美容師さんの悲鳴。
美容師さんが三人がかりで、力任せに襟ぐりを四方にひっぱり、ざっくりしたセーターだったのが幸いして、なんとかセットヘアをニットから救出。
次に私を振り返り「ゆきさんはっ?」
ああ、大丈夫、前ボタンのカーデガンです。
その頃読んでたJJに卒業式・謝恩会特集があって 、そこの失敗談にあったのよ。
セットし終わった後にニットだったことが発覚して、自分で何ヵ月もかけて編んだニットを泣きながら毛糸玉に戻したって話が。
そうか、セットの時は着ていくものも考えなきゃいかんのだなと読みながら、なんで美容師が先に気づかないのだ!って思ったんだけどさ。
まさかそれが目の前で再現されるとは……。