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映画のことを語る

「8番目の男」
韓国で最初の国民参与裁判(裁判員裁判)を元にした話。
証拠も目撃者の証言もあり、被告は取り調べで自白もしているという最初から明白な事件ということで、裁判のプロである裁判官にとっては日常茶飯事、素早く事務的に片付けるのが当然と考えている。そればかりでなく弁護人でさえ有罪無罪を争うなどということは考えもせず、量刑を軽くすることだけを考えている。ただ、アマチュアそのものの陪審員だからこそ、プロたちが当たり前のように受け取っている証拠や証言に疑問を抱く。
陪審員の中でも世故に長けたエリート会社員は、「専門家が言うのだから間違いない。学歴も資格もない者に何がわかる」「判断は上の人に任せればよい」と言うが、素人だからこその疑問から始まったことが調べていくうちにどんどん疑いが深まっていく。
プロたちにとってはあまりにも日常的なことで慣れ過ぎているからこそ忘れがちな裁判の原点を、何も知らないアマチュアの新鮮な感覚によってもう一度思い起こさせる。日本でも裁判員裁判があるけれど、一般人の感覚を裁判に取り入れることの必要性ってそういうことなんだなと。
主演のパク・ヒョンシクは、最初はナイーブなほどの物知らず(笑)陪審員制度ができたことも知らず、自分が候補になって裁判所から呼び出しが来ていたことすら気づいていなかったという呑気者なのに、一旦始まると「いい加減にはしたくない」「疑問点をそのままにして流されたくない」という気持ちでのめり込んでいく役柄がすごく良かった。いやまあ、可愛いというのが一番だけど(笑)

[追記]
主演のパク・ヒョンシクが陪審員8番ということで邦題は「8番目の男」だけど、確か原題は「陪審員たち」というのではなかったかしら。内容を知ると、その方がいいと思うな。