@kodakana_ship10
ラジオ/CDラジオのことを語る

ラジオとしての RX-D70BT

2019年4月に発売されたパナソニックの「ポータブルステレオ CD システム」であり「CD 語学学習機」でもある RX-D70BT です。今回はラジオとしての機能を中心に評価していきます。

なお主な機能はラジオ(AM/FM)、CD(CDDA/MP3)の再生、USB メモリに対する録音と再生(MP3)、有線による音声入力(マイク/AUX IN)、Bluetooth による音声入力(A2DP)、タイマー(スリープ/目覚まし/録音)等々。

外観

従来のパナソニック製 CD ラジカセ系列とは大きく異なる瀟洒な印象で、黒系単色調の落ち着いた雰囲気にビックカメラ系列専売で白色版もある、平面を小さい曲面で繋いだ収まりの良い形状です。どちらかというと「三洋電機が存続していたらこんなの作りそう」という気もします。「おしゃれなテレコ」の子孫なのか? あるいは1960年代最初期のステレオラジオからの正統進化形?

二十年以上前のソニー製 CD ラジカセ ZS-D5 に比べると、横幅は約四分の三、高さは半分強で、威圧感が無く身近に置きやすい大きさです。

奥行きだけがほとんど変わりません。

これは CD ドライブの大きさに制約されるためと、スピーカーボックスの容積を確保するためでしょう。上面は平板で地味ですね。CDDA のロゴさえありません。何か置きたくなります。

横から見ると前方にやや広がっていて、正面はやや上向きになっています。

背面には AM アンテナ端子や音声入力端子があります。

表示部

おそらく STN 方式の透過型液晶で、黒地に白抜きの文字に、バックライトが常時点灯します。全体的に青みがかっているので、明暗差がきつくて目に痛いということがありません。

電源「切」の状態では置時計的な表示になります。日時は一晩電源の元を断っても保持されています。別に時計用の乾電池などはありません。バックアップ用に小型の充電池でも内蔵しているのかな? とにかく扱いやすくて良い所です。自動補正機能は無いので、精度が気になります。

バックライトは電源の「入/切」の状態に関わらず常時点灯します。これは「操作後十秒で消灯」するように設定を変更できます。が、そうすると電源の「入/切」の状態に関わらず常時「操作後十秒で消灯」してしまいます。液晶自体がほぼ外光を反射しない系で、消灯されるとほぼ視認できないので考えもの。就寝時などに不要であればスイッチ付きのタップで切っておくのが節電的にも良さそうです。

操作部

表示部の下に主な操作系統が下がりダンダラ状に並んでいます。

まず10キーですが、ラジオではプリセットが割り当てられるので便利です。他社のラジカセ類では、プリセット自体は十件くらいできても、直接選局できるボタンは三個くらいしか無かったりするので、本機の良い所です。その下に音源の切り替えや基本的な再生操作に使うものが並んでいます。四角四面に同じ大きさで詰まっているものの、機能類別的に整理されているので憶えやすいと思います。

上面には向かって左側に電源関係、右側に音量、中央には主に CD や USB メモリからの再生に使うものがまとめられています。よく整理されています。ただ音質の調整がメニューの中にあってやや手軽さにかけるので、この辺りに専用のキーが欲しいような気がします。

リモコン

小さくて持ちやすく、置きやすくもある形状です。ただ機能的には再生操作が中心で、ラジオではプリセットを選択する手段が無く、選局は周波数を前後に送ることしかできません。せめてプリセット番号の前後送りが欲しい所です。

ラジオ

プリセットは地域を選択するだけで主要な放送局が登録される手軽さです。後は必要に応じて手作業でコミュニティ FM などを割り当てておくと良い感じです。

アンテナは、背面に AM アンテナ端子があり、ループアンテナが付属します。本体は手近な所に置きつつ、アンテナだけ窓際など入感の良い所に移せます。アンテナの指向性のために本体を動かす必要もないので良い感じです。

AM ではこのように気が利いているにも関わらず、FM 用のロッドアンテナは前方に倒れない構造です。このため場所によっては本体を望ましい向きにできない可能性があります。他社製品にも言えることですが、ロッドアンテナはどの向きにも回しやすい構造にして欲しい所です。

また、ロッドアンテナは横に倒すとループアンテナのケーブルに干渉します。ループアンテナの端子は細い裸線を差して挟む形式なので、強度に不安があります。どうせならもう少し扱いやすい形にして欲しい所です。

感度

チューナーの感度について、今まで主に使っていた東芝の TY-SR55 と比較的に評価してみます。

うちは札幌からの FM 放送を受信するにはやや遠い所ですが、入りの良い順に挙げると、AIR-G’>ノースウェーブ>NHK-FM≒HBC>STV を聞くことができます。この内、AIR-G’ はステレオでほぼ安定した受信ができ、ノースウェーブも割合安定したステレオ受信も可能、NHK-FM と HBC はモノラルでほぼ安定した受信ができます。この点で両機に大きな差は感じられません。ただ本機の方がステレオ受信時に入りがちな背景的な「サー」という雑音が目立ちます。SR55 はステレオ感を弱めに調整することで雑音を抑えているのかもしれません。

両機の差は最も入りの悪い STV で著しいです。SR55 では置く場所を選べばモノラルで聞けるのに対して、本機では雑音が入って聞きにくいです。本機の方が搭載するデジタルチューナーの特性で「弱い電波に弱い」のかもしれません。なおうちは STV が想定するワイド FM の可聴圏外です。

FM はモノラル/ステレオの切り替えは受信状況によって自動的にされるのみで、どちらかに固定する機能がありたい所です。やや雑音が耳に付く程度までステレオです。ステレオ感は良好です。ステレオになっているかどうかの表示は無いので、放送内容によっては状態が分かりにくいことがあります。

音質は AM/FM とも、ソニーのような愛着を感じさせる調整ではないものの、標準的で良質なラジオの音と思えます。

スピーカー

正面にフルレンジのコーン、後方にダクトがあり、背面バスレフレックス構造になっているようです。ボックス内の空間がまずまず十分にあるようで、奥行きのある響きであり、八畳間くらいでは全く不足しない程度の力があります。スピーカーは上を見ればキリの無いものですけど、とにかくミニコンポすら置く場所は無い、という部屋には不満とすべくもない水準ではないかと思われます。

細かく見ると気になる点はあるものの、チューナーやスピーカーの素性が良く、選局キーが多いことからも、置きラジオとして良い製品です。USB メモリや Bluetooth 対応といった現代的な機能もあり、スマートフォンなどからの音声をより良い音で鳴らすことも出来るので、何かしら聞くものがあるならどう転んでも役に立ちそうです。ラジオを聞くためのみならず、Bluetooth スピーカーを探している人にも勧められる一品です。

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