@kodakana_ship10
Chrome OSのことを語る

Chrome OS を評価するため IdeaPad 330S(14",AMD)を CloudReady と Windows 10 のデュアルブートにした

CloudReady とは Chrome OS のオープンソース版である Chromium OS から構築された派生 OS。Chrome OS は Google から PC メーカーに卸され、ハードウェアと一体で販売されている。Chromium OS はソースコードが公開され、一般的な PC にインストールすることもできるが、Google による自動更新サービスなどとの連携は利用できない。CloudReady は米 NeverWare 社が提供する自動更新や管理サービスなどを利用できる。CloudReady は Home Edition なら無料で使用でき、NeverWare による技術支援などは受けられないが、自動更新サービスは提供される。

Chrome OS は Linux ディストリビューションの一つであり、基本的には Chrome ブラウザを使うための OS で、汎用性が低い代わりに軽量であって、性能が低めのハードウェアで Windows 10 より軽快に動く。Chromium OS = CloudReady は Chrome OS とほぼ同じ機能を持っているが、Android アプリ実行環境が付属しないなど、いくつか無いものがある。日本語環境では Chrome OS で「Google 日本語入力」が使えるが、Chromiumu OS では「mozc」になる。また、Chrome OS がプリインストールされる PC には Chrome OS に最適化されたファームウェアが搭載される点も違いになる。

CloudReady は Windows などで USB メモリにインストーラを構成できる。USB メモリから起動してそのまま試用することもできるし、そこから PC にインストールすることもできる。ただし、CloudReady のインストーラはデュアルブートを想定していないため、現在インストールされている OS は消去されることになる。デュアルブート化には一工夫が必要になる。

IdeaPad 330S には幸い、ストレージを内蔵できるスロットが二つある。一つは Windows 10 がプリインストールされた M2 スロットで、もう一つは 2.5 インチのドライブが入る SATA スロットが空きになっている。そこで、M2 接続の SSD を取り外して、2.5 インチの SSD を挿入した状態で CloudReady をインストールする。それから M2 接続の SSD を差し戻す。電源投入直後に F12 キーを押すと EFI のブートセレクタが出て、CloudReady と Windows Boot Manager を選択して起動できる。

実際に使ってみると CloudReady ≒ Chrome OS の軽快さが確かに感じられる。例えば Twitter をスクロールしていると Windows 10 上では引っかかりを感じるが、CloudReady 上ではより滑らかに動く。OS がずっと軽量であるため、ウェブブラウザがマシンの能力をより多く活用できるのだろう。この軽快さに加えて、運用上の利点は OS やアプリケーションの更新を意識する必要があまり無いことで、管理の手間がかからないので、教育市場に受け入れられていることもうなずける。多くのものが動いていない静謐な印象を受けるので、ちょっとした集中を要する作文などに使いたくなる感じがある。

実用上、誰もが懸念するのは、ネイティブなアプリケーションとしては Chrome ブラウザ(オープンソース版では Chromium ブラウザ)しか動かない(他にファイルマネージャは付属するが)ということだろう。ウェブでできることは何でもできるが、それ以外は何もできないということになる。Twitter などの一部のウェブサイトは Chrome ブラウザのウィンドウから分離された形で表示でき、デスクトップアプリのような感覚で使うことはできる。

このモードはまだ一部のウェブサービスに限られていて、Google でもマップやドライブは対応しているが、Gmail やドキュメントなどはできない。Microsoft では Outlook メールは対応しているが、そこから Word Online を開いて文書を編集しようとすると、Chrome ブラウザのタブに入ってしまう。

ウェブブラウザのウィンドウの中にワープロソフトがはめこまれたような状態で作文するというのは、何だかとてもイケてないような気がするのだが、このあたりは Chrome OS では Android アプリが走るので、ある程度はどうにかなるのだろう。

こうして評価の結果、Chromebook や Chromebox を購入しようと決めた場合、注意すべきことがある。Chrome OS には Google による定期的な更新が提供されるが、これは永遠にあるわけではなく、Google の自動更新ポリシーによって機種ごとに有効期限が定められている。特に発売から時間が経っている機種を狙う場合は、安くなっているからといってすぐに飛びつかず、この期限を確認して納得できるかどうか検討した方が良いだろう。