バリコン式のラジオ受信機(2021年1月現在)
ラジオ放送はアナログのままでも、受信機のデジタル化は進んでいて、旧来のバリコン(可変蓄電器)で同調を取る純粋なアナログラジオは少なくなりました。代表的な現行製品をまとめておきます。
ソニー
ICF-P36
『ラジオマニア2020』の記事でバリコンを確認できます。製品情報に「分かりやすいアナログチューナー」の記載あり。アルカリ乾電池(単三形2本)で約100/110時間(FM/AM)持続するとしています。
同時に発売(2015年10月)された ICF-P26 と ICF-306 も「分かりやすいアナログチューナー」の記載があり、電池周りの仕様が同じことから、バリコン式と思われます。
ICF-51
SONY ICF-51の分解と修理というページに掲載されている分解写真でバリコンを確認できます。製品情報に「分かりやすいアナログチューナー」の記載あり。ただし電池持続時間は単四形(2本)なのでアルカリ乾電池で44/52時間(FM/AM)と短め。
なお SRF-19 は同じような携帯型ラジオだが、単三形2本で47/52時間と短めで、デジタル化されているように見えます。
ICF-B09/ICF-B99
ICF-B09 は所有していて、実際の挙動からバリコン式と判断します。製品情報では単三形2本で80/100時間持続するとしています。また、blog バイクにのる人SONY ICF-B08/B09にUSB充電機能追加の改造というページの分解写真でもバリコンが確認できます。
基本性能が共通する ICF-B99 も同様でしょう。
パナソニック、東芝
全てデジタル化されている模様です。
オーム電機
「スタミナハンディラジオ」と銘打つ RAD-H245N は、単三形2本で270/280時間と超長時間稼働するとしています。HSDL.blog.jp : OHM RAD-H245N② というページの分解写真でバリコンが確認できます。
他に電池持続時間から見て RAD-P210S、RAD-P125N、RAD-P135N などはバリコン式かもしれません。
また RAD-P2226S は液晶で周波数を表示するが、単四形2本で58/60時間稼働するとしているので、もしかしたらと思ったら「オーム電機 P2226S短波改造」という動画でバリコンらしきものが見えます。
朝日電器(ELPA)
ER-P80F は「アナログ同調」の記載があり、単三形2本で115/130時間稼働するとしているので、バリコン式でしょう。他の現行機種はほぼ全て「デジタル同調」の記載があります。ELPA のサイトでは現行機種として掲載されているが、検索しても全くヒットせず、直販サイトでも扱いが無いので手に入るのか不明。
ヤザワ
RD32 と RD31 には「アナログ方式で電池寿命長持ち(当社比)」との記載があり、前者は単三形2本で263/242時間、後者は単四形2本で145/158時間と超長時間稼働するとしています。バリコン式でしょう。
アナログラジオの利点?
アナログ放送の受信機なのにデジタル化が進んでいることの背景には、製造工程の簡略化や費用の削減が出来る、無線機全体でバリコンの需要が減退している、古い技術を扱うエンジニアが不足しているなど、生産側の都合が挙げられます。純粋なアナログラジオは今や不経済な製品になりつつあるのかもしれません。
消費者として新しいデジタル式ではなく、古いアナログ式のラジオを選ぶ利点としては、第一に比較的電池持続時間が長いことが挙げられます。ただしオーム電機の RAD-H310N(現在絶版)のように単三形2本で100時間に届く DSP 機も登場するなど、差は縮まっています。
音質や感度などの性能の面では、FM を聴く場合にはアナログ式の利点はもうありません。AM では価格帯や操作性が近い機種で比べると、アナログ式の方が好ましく感じられる場合が多いようで、まだまだ AM をよく聴くという向きには選択の条件になりうるでしょう。
また、バリコンのラジオは現行機種が最後期の世代になる可能性があり、一種の技術史的記念品として確保しておくのも良いかと思います。