私の記憶が確かなら、NATO かなんかでミサイル防衛網を展開しようとした時に、ロシアが共同での構築を提案したことがあった。

プーチン政権の第一期の頃だったかと思うから、まだ“西側”との関係を模索する所もあったのだろう。西側の方ではロシアの提案を問題にもしなかったように記憶している。安全保障上も外交儀礼的にも少しは話し合いを持つべきで、あの時にまともな話し合いをしていれば今日の事態は避けられたかもしれない。

しかし今にして思えば、軍事的にロシアを孤立させることが西側の、おそらくソ連崩壊直後からの既定路線だったと思える。追い込まれたからといって暴発してはいけないが、あちこちに焚付を置いて回って火を付けるように誘う方も人が悪い。何だか80年くらい前に似た図式を見たような気がするな。国際政治は恐ろしい。

プーチンは、もともと政治家ではなかったように記憶している。少なくとも余り政治性に富んだ人間ではなかった。エリツィンが後継者に指名したくらいだから、ソ連時代への反動を起こすような人物だとは思われていなかっただろう。本人の自覚としても反動を起こしているとは思っていないようだ。実際上もこれはその意味での反動ではないのかもしれない。